2008/09/05

麦の穂をゆらす風

2006年12月26日
年末に予習せずに観てすっかりぐったりした映画です。

麦の穂をゆらす風 公式サイト

映画全体を通して、アイルランドの連なる山や丘など自然あふれる美しい風景が映し出されます。

が、内容はとても凄惨なもので・・・
今回は内容に触れず、アイルランドの小さな町、街と書くにはあまりに小さい町の風景を書いてみようと思います。

1920年のアイルランド南部のコークが舞台ということでしたが、石畳の舗装のある通りは町の中心のみで、周辺は豊かな緑が続く山村?草原?地帯です。

この町の中央通りであろう石畳みの通りは、舞台中盤でイングランド軍が撤退する時に、「町から外部の軍隊がいなくなる」ということを、より印象付けるための象徴として使われています。また、逆に小さな町が舞台ということもあって、彼らの「戦場」は上記町のメインストリートではなく、砂利の道が選ばれいます。

丘のカーブを曲がってくるイギリス軍のジープに対して奇襲する時の緊張感。主人公たちにとっての、いつもの生活の場、美しい緑と丘に囲まれたいつもの砂利道が、一瞬にして戦場となる愚かさというか何と言うか・・・

周囲の自然の美しさとは全く関係なく行われる殺戮が、次へ次へと追い立てるように悪循環の連鎖を呼んでいく姿に、鑑賞中なんとも脱力でした。兄弟でさえ、その意思を同じに通わせることすらできない、という意味でも、人の愚かさを感じずにはいられません。

社会派として長く映画を撮り続けるケン・ローチ監督ですが、今回はさらにその語調を強めたように思います。

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